強行法規について|独占禁止法・取適法
【強行法規】
強行法規とは、当事者の意思にかかわらず、法として画一的に適用される規定をいいます。強行法、強行規定ともいいます。 対して、契約などによって変更することが認められている規定は任意法規(任意法、任意規定)といいます。
※契約書を作成するにあたっては、自社に有利な内容とするのは勿論ですが、あまりにも偏った内容とすると、監督官庁や裁判所に、契約内容の一部または全部が強行法規(独占禁止法やその特別法である取適法(中小受託取引適正化法)等)や公序良俗に違反すると判断され、ペナルティを受けることになるので注意が必要です。
独占禁止法・取適法について
【独占禁止法とは】
独占禁止法の正式名称は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」です。
この独占禁止法の目的は、公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることです。
また,独占禁止法の特別法として,中小受託事業者に対する委託事業者の不当な取扱いを規制する取適法(中小受託取引適正化法)があります。
【独占禁止法が規制する行為】
独占禁止法は、私的独占、不当な取引制限(カルテル、入札談合等)、不公正な取引方法などの行為を規制しています。
私的独占
私的独占は、独占禁止法第3条前段で禁止されている行為です。 私的独占には、「排除型私的独占」と「支配型私的独占」とがあります。 前者は、事業者が単独又は他の事業者と共同して、不当な低価格販売などの手段を用いて、競争相手を市場から排除したり、新規参入者を妨害して市場を独占しようとする行為です。 後者は、事業者が単独又は他の事業者と共同して、株式取得などにより、他の事業者の事業活動に制約を与えて、市場を支配しようとする行為です。
不当な取引制限
不当な取引制限は、独占禁止法第3条で禁止されている行為です。 不当な取引制限に該当する行為には、「カルテル」と「入札談合」があります。 「カルテル」は、事業者又は業界団体の構成事業者が相互に連絡を取り合い、本来、各事業者が自主的に決めるべき商品の価格や販売・生産数量などを共同で取り決める行為です。 「入札談合」は,国や地方公共団体などの公共工事や物品の公共調達に関する入札に際し、事前に、受注事業者や受注金額などを決めてしまう行為です。
事業者団体の規制
独占禁止法が規制している行為の対象者は、市場において事業活動を行っている事業者だけでなく、2以上の事業者で構成される社団や財団、組合等の事業者団体も対象となります。 事業者団体とは、「事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする2以上の事業者の結合体又はその連合体」をいうとされています。 独占禁止法第8条では、事業者団体の活動として、事業者団体による競争の実質的な制限、事業者の数の制限、会員事業者・組合員等の機能又は活動の不当な制限、事業者に不公正な取引方法をさせる行為等を禁止しています。
合併や株式取得などの企業結合規制
独占禁止法は、株式保有や合併等の企業結合により、それまで独立して活動を行っていた企業間に結合関係が生まれ、 当該企業結合を行った会社グループが単独で、又は他の会社と協調的行動を採ることによって、 ある程度自由に市場における価格、供給数量などを左右することができるようになる場合(競争を実質的に制限することとなる場合)には、当該企業結合を禁止しています。 一定の要件に該当する企業結合を行う場合、公正取引委員会に届出・報告を行うこととされています。
独占的状態の規制
独占禁止法は、通常、カルテルや企業結合などの競争に影響を及ぼす行為を対象に規制しているが、独占的状態に関する規制は、競争の結果、 50%超のシェアを持つ事業者等がいる等の市場において、需要やコストが減少しても価格が下がらないという価格に下方硬直性がみられるなどの市場への弊害が認められる場合には、 競争を回復するための措置として当該事業者の営業の一部譲渡を命じる場合があります。
不公正な取引方法に関する規制
不公正な取引方法は、独占禁止法第19条で禁止されている行為です。 不公正な取引方法は、「自由な競争が制限されるおそれがあること」、「競争手段が公正とはいえないこと」、「自由な競争の基盤を侵害するおそれがあること」といった観点から、 公正な競争を阻害するおそれがある場合に禁止されます。 不公正な取引方法については,公正取引委員会が告示によってその内容を指定していますが、この指定には、すべての業種に適用される「一般指定」と、特定の事業者・業界を対象とする「特殊指定」があります。 一般指定で挙げられた不公正な取引方法には、取引拒絶、排他条件付取引、拘束条件付取引、再販売価格維持行為、優越的地位の濫用、欺瞞的顧客誘引、不当廉売などがあります。 また、特殊指定は、現在、大規模小売業者が行う不公正な取引方法、特定荷主が行う不公正な取引方法,及び新聞業の3つについて指定されています。
取適法(中小受託取引適正化法)に基づく規制
取適法(中小受託取引適正化法)は、中小受託事業者が不当な負担を強いられることのない、公正な取引環境を整えるための法律です。
【独占禁止法に違反した場合】
公正取引委員会は、独占禁止法違反に対し、制裁措置をすることができます。 企業がこの制裁措置を受けた場合、信用度に大きなインパクトを被ります。
排除措置命令
公正取引委員会では、違反行為をした者に対して、その違反行為を除くために必要な措置を命じます。これを「排除措置命令」と呼んでいます。
追徴金
私的独占、カルテル及び一定の不公正な取引方法については、違反事業者に対して、課徴金が課されます。
損害賠償の請求
カルテル、私的独占、不公正な取引方法を行った企業に対して,被害者は損害賠償の請求ができます。 この場合、企業は故意・過失の有無を問わず責任を免れることができません(無過失損害賠償責任)。
罰則
カルテル、私的独占などを行った企業や業界団体の役員に対しては、罰則が定められています。
【独占禁止法の違反とならないためには】
企業は、取引・経済活動を行う際、独占禁止法の違反とならないために、以下のような事項に留意する必要があります。
(1)「品質」と「価格」による競争に適うか(公正かつ自由な競争であるか)
(2)競争回避(相手方との取決めにより競争をやめようとするもの)、競争者排除(ライバルを不当に市場から締め出そうとするもの)になっていないか
(3)取引相手の自由を不当に奪っていないか(転売先の指定・制限、買主に対する他社類似品の購入禁止など)
(4)価格拘束のおそれはないか(再販売価格の拘束など)
(5)制限行為に合理的理由があるか(注;競争回避・競争者免除など競争減殺以外の合理的理由があっても、その行為が競争減殺につながれば独占禁止法違反となるおそれがある)
(6)市場におけるシェアが高くないか(独占禁止法に違反するかどうかの判断では、市場における競争が実質的にどの程度制限されるかが問題とされる。市場シェアが高い場合はとくに注意を要する)
(7)優越的地位にないか(相手方に対し立場が圧倒的に強い場合、不当な行為制限や優越的地位の濫用と判断されないように注意する必要がある)
参考:独占禁止法の概要(公正取引委員会)
取適法(中小受託取引適正化法)について
取適法が2026年1月1日から施行
令和8年(2026年)1月1日から、「下請法」が改正され、「中小受託取引適正化法(通称: 取適法 とりてきほう )」として施行されました。これにより、適用対象となる取引や事業者の範囲が拡大され、中小受託取引の公正化と受託側の中小企業の利益保護が強化されています。
※取適法は、正式には「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」といいます。
※取適法が適用される場合、業務委託契約書、業務委託基本契約書及びそれに基づく個別契約書、発注書/注文書及びそれに関連する請書について、取適法第4条書面として必要な記載が含まれている必要が出てきます。
※当事務所では、取適法施行に伴う契約書の見直し・新規作成に関するご依頼をおうけしています。
「下請」などの用語の見直し
「下請」という言葉には、委託側と受託側の上下関係を連想させる側面がありました。そのため、法律の名称以外にも、従来の「親事業者」は「委託事業者」に、「下請事業者」は「中小受託事業者」に変更されました。そのほかにも、「下請代金」は「製造委託等代金」に変更されました。
適用対象の拡大
適用対象となる事業者と適用対象となる取引の範囲が拡大されました。
① 事業者の基準の見直し
これまでの資本金基準に加え、従業員数による基準(常時使用する従業員数300人(製造委託等の場合)又は100人(役務提供委託等の場合))が新たに追加されました。委託事業者・中小受託事業者が資本金基準又は従業員基準のいずれかの基準を満たす場合、取適法の適用対象となります。
② 対象取引の追加
従来の製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託に加え、新たに「特定運送委託」が追加されました。特定運送委託は、事業者が販売する物品や、製造や修理を請け負った物品などについて、その取引の相手方に対して運送する場合に、運送業務を他の事業者に委託する取引です。これまでは独占禁止法の枠組みにより規制されていましたが、無償で荷役・荷待ちをさせられている問題などを受け、取適法の対象に追加されるものです。
なお、中小受託事業者がフリーランス(特定受託事業者)にも該当する場合に、取適法とフリーランス・事業者間取引適正化等法のいずれにも違反する行為が委託事業者から行われた場合は、原則としてフリーランス・事業者間取引適正化等法が優先適用されます。
委託事業者の4つの義務
委託事業者は、以下の4つの義務を遵守する必要があります。
・発注内容等の明示
・取引記録の作成・保存
・支払期日の設定
・遅延利息の支払い
委託事業者の11の禁止行為
委託事業者が正当な理由なく行う次の行為は禁止されます。
1.受領拒否
2.製造委託等代金の支払遅延
3.製造委託等代金の減額
4.返品
5.買いたたき
6.購入・利用の強制
7.報復措置
8.有償支給原材料等の対価の早期決済
9.不当な経済上の利益の提供要請
10.不当な給付内容の変更・やり直し
11.協議に応じない一方的な代金決定
引用:政府広報オンライン|2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります
関連リンク
公正取引委員会|中小受託取引適正化法(取適法)関係
公正取引委員会|取適法特設ページ
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※この記事の監修者:行政書士 岡田旭(MBA)
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