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経営委任契約書:店舗経営委託契約書、営業委託契約書 etc.

●営業の所有者が第三者に営業を委託する場合に、取り交わされる契約書です。

委託する内容は『営業の賃貸借』『狭義の経営委任』『経営管理』等に分類されます。

営業の所有者と契約の相手方の権限の範囲を明確にしておく必要があります。

賃借している店舗の経営を第三者に委託する場合、転貸の問題に気をつける必要があります。 →賃借りしている店舗での営業活動を、第三者に経営委託する場合

契約書例

店舗経営委託契約書

→特定の店舗での経営を、第三者に委託する際に交わされる契約書です。

→例えば...今まで自分が行ってきた、衣料品店、エステサロン、飲食店、ホテル等の経営を、 独立することになった従業員に任せることになれば、その従業員とは今までの雇用関係を 解消し、新たにこのような契約を取り交わすことになります。

→なお、その店舗が自己所有でない場合、転貸にあたらない契約内容とします。 (後述の【賃借りしている店舗での営業活動を、第三者に経営委託する場合】をご参照下さい。)

  店舗賃貸借契約書もあわせてご覧下さい。

狭義の経営委任契約書

→営業上の損益が受任者に帰属し、受任者の計算及び裁量によって経営活動が行われ、 営業の損益は受任者に帰属する場合に取り交わす契約書です。

  販売代理店契約書もあわせてご覧下さい。

経営管理契約書(経営委任契約書、営業委託契約書)

→営業上の損益が営業の所有者(委任者)に帰属し、委任者の計算及び裁量によって 経営活動が行われ、受任者は一定の報酬を受けるに過ぎない場合に取り交わす契約書です。

営業の賃貸借契約と経営委任契約について

営業の賃貸借

営業の所有者が、その営業を他人に賃貸する契約を『営業の賃貸借』といいます。 この営業には、物的施設に加え商業使用人などの人的要素も含まれます。

営業の賃貸借においては、賃借人の名義で営業活動が行われます。 すなわち、対外的には賃借人が営業から生じる権利・義務の主体となります。 ただし、営業譲渡とは異なり、営業の所有権は移転されません。

賃借人の計算及び裁量によって経営活動が行われ、営業の損益は賃借人に帰属します。

営業の所有者(委任者)は、賃借人から賃料という形で支払いを受けます。

経営委任

営業の所有者が、その営業の経営を他人に委託する契約を『経営委任』といいます。

経営委任においては、営業の所有者(委任者)の名義で営業活動が行われます。 すなわち、対外的には営業の所有者が営業から生じる権利・義務の主体となります。

対内的には、次の2種類があります。

狭義の経営委任
→営業上の損益が受任者に帰属する場合。 受任者の計算及び裁量によって経営活動が行われ、営業の損益は受任者に帰属します。 営業の所有者(委任者)は、受任者から報酬という形で支払いを受けます。 報酬は、「収益の○○%」「売上○○%」のように決められることが多いです。

経営管理
→営業上の損益が営業の所有者(委任者)に帰属する場合。 委任者の計算及び裁量によって経営活動が行われ、受任者は一定の報酬を受けるに過ぎません。 その法的性質は、委任者が受任者に対して「経営」という「事務処理」を委託するもので、 民法第643条に規定される通常の委任と解されます。

*「営業活動の名義」「営業損益の帰属(計算)」の違いを表にまとめると、次のようになります。

(営業の所有者=甲、契約の相手方=乙)

営業活動の名義 営業損益の帰属(計算)
営業の賃貸借  乙  乙
経営委任(狭義の経営委任)  甲  乙
経営委任(経営管理)  甲  甲


【会社法による規制について】

株式会社が『事業の全部の賃貸、事業の全部の経営の委任、他人と事業上の損益の全部を 共通にする契約その他これらに準ずる契約の締結、変更又は解約(会社法第467条4項抜粋)』を するときは、株主総会の特別決議を経る必要があります。

【独占禁止法による規制について】

会社が『事業の全部又は重要部分の譲受け・賃借・経営の受任、他の会社と事業上の損益全部を 共通にする契約の締結事業の全部の賃貸(独占禁止法第16条抜粋)』をすることにより、一定の 取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、当該行為をしてはなりません。 また、これらの行為を不公正な取引方法により行ってはなりません。

注;独占禁止法は、『私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律』のことです。

【賃借りしている店舗での営業活動を、第三者に経営委託する場合】

店舗の家主の承諾を得なければ、契約の内容によっては『転貸』に該当してしまいます。

→民法第612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)は、以下のように定めています。
----------------------------------------------------
第612条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を 転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、 賃貸人は、契約の解除をすることができる。
----------------------------------------------------

→店舗の家主の承諾を得ることができない場合、転貸とならないようにするには、以下の要件が必要です。

・営業の所有者(委託者)の名義において営業活動を行うこと
・営業の所有者(委託者)に経営指揮権があり、営業場所の位置の
 指定・変更もできること
・権利金等の授受がないこと

→営業の所有者が受任者から受け取る月々の支払いに「定額部分」があれば、その定額部分が 実質上の家賃補助/肩代わり=転貸とみなされる可能性が大です。

ご参考
店舗の経営委託と無断転貸
「営業委託契約」と「営業の賃貸借」  (財)不動産流通近代化センターHPより

店舗賃貸借契約書もあわせてご覧下さい。

TIPS

印紙税に関する注意点 (詳しくは国税庁HPをご参照下さい)
経営委任契約書が「継続的取引の基本となる契約書」に該当する場合、 一部につき4,000円となります。 (ただし、契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めのないものは除きます。)

善管注意義務 (ぜんかんちゅういぎむ)
善良な管理者の注意義務(民法第400条)のこと。その人の職業や社会的地位等から考えて 普通に要求される程度の注意。動産賃貸借契約における借主も、この義務を負います。

双務契約 (そうむけいやく)
当事者の双方が相互に対価的関係にある債務を負担する契約。 委任契約は双務契約です。この他、請負契約、売買契約、賃貸借契約などが双務契約にあたります。 これに対し、一方の当事者のみが債務を負う契約は片務契約(へんむけいやく)と呼ばれます。 贈与は片務契約にあたります。

消滅時効 (しょうめつじこう)
権利を行使しない状態が一定期間継続することにより、その権利を消滅させる制度。 所有権以外の財産権は全て消滅時効にかかります。債権は、民事は10年・商事は5年、 それ以外の財産権は20年の不行使によって消滅するのが原則です(例外もあります)。